Music

訳:緒方秀教

ふきのとう「ふる里に春が来た」 Fukinotou "Spring has come to my hometown" new!

詞:山木康世


ポプラの木にそよぐ風は小鳥達を誘う

待ち続けた喜びの声、町中にこだまする

緑の芝生は大の字で光を受け止める

友と学び恋した日々

ふる里に春が来た

内田勘太郎(憂歌団) Kantaro Uchida (Yukadan, Japanese blues band) new!

Simon and Garfunkel "Baby Driver" new!

lyrics: Paul Simon


They call me Baby Driver

And once upon a pair of wheels

I'll hit the road and I'm gone

What's your number?

I wonder how your engines feel

Scoot down the road

What's your number?

I wonder how your engines feel

チューリップ「夢中さ君に」  Tulip "Crazy about You"

詞:財津和夫


真っ赤な車でいつもやって来る

そよ風に髪がよく似合う女の子

本を抱えて(イカしたあの娘さ)

僕の目の前をすまし顔で過ぎると

キャンパスへ消えて行く

スガシカオ「午後のパレード」 Shikao Suga "Afternoon Parade"

詞:スガシカオ


世界中のクエスチョンマーク

賑やかな夏の午後のパレード

そこらじゅう危険ノーマーク

ごめんなさい、生まれつきノー天気で

きっと明日は君の街へ

パレードがほらやって来る

胸躍るリズムに乗って

夏はまだ終わらない

Char「闘牛士」 Char "Bullfighter"

詞:阿久悠


薔薇を投げるのは明日にしてくれ

今日は晴れやかに受けてやれない

ただ俯いて足早に歩く負け犬の気分さ

こんな顔見せたくないよ

俺だってつらいよ

ふきのとう「ステーション」 Fukinotou "Station"

詞:山木康世


いつまでも待ってた

君が帰らない夜

いつも待ち合わせたステーション

季節外れの雨

lyrics by Yasuyo Yamaki

(English translation by Hidenori Ogata)


I waited for a long, long time

The night when you never came back

At the station where we would meet

When it rained out of season

ふきのとう「青空」 Fukinotou "Blue Sky"

詞:細坪基佳



誰の心にも扉を締め切った薄暗い部屋が一つある

そこにはうずくまり

「孤独」という名の飴玉をしゃぶる子供が一人

lyrics by Motoyoshi Hosotubo

English translation by Hidenori Ogata


Everybody has a dim room with door closed

There is a child crouching

And sucking a candy named "solitude"

Simon and Garfunkel "The Sound of Silence"

(lyrics by Paul Simon)


Hello, darkness, my old friend

I've come to talk with you again

Because a vision softly creeping 

Left its seeds while I was sleeping

And the vision that was planted in my brain

Still remains

Within the sound of silence

ふきのとう「山のロープウェイ」 Fukinotou "Ropeway of the Mountain"

札幌もいわ山ロープウェイ

Ropeway of Mt. Moiwa, Sapporo

詞:山木康世



この町を見渡せる山のロープウェイに

蝉しぐれの季節に乗りに行きましたね

山の頂上まで君の手を引いて

あれは2年前の夏の青空

lyrics by Yasuyo Yamaki

(English translation by Hidenori Ogata)


Do you remember we went to ride the ropeway

Of the mountain with a fine view of the town 

In summer season with the song of cicadas

We went up to the top of the mountain taking you by the hand

It was a summer sunny day with the blue sky two years ago

オフコース「言葉にできない」 Off Course "No Words"

詞:小田和正 



終わるはずのない愛が途絶えた

いのち尽きてゆくように

違う、きっと違う

心が叫んでる


一人では生きてゆけなくて

また誰かを愛している

心哀しくて 

言葉にできない


La, la, la, la, la, la, ...

言葉にできない

lyrics by Kazumasa Oda

(English translation by Hidenori Ogata)


A love that I believed would last forever

The love ended as if a life faded out

No! Oh, no...

I'm crying in my heart


'Cause I can't live alone

I fell in love with someone again

What a sadness

I can find no words to express my sorrow


La, la, la, la, la, la, ...

I can find no words

ポール・サイモン Paul Simon "Late Great Johnny Ace"

by Paul Simon


あの時、僕は雑誌を読んでいて、ロックンロールのことを考えていた

1954年のことだった

まだ音楽をやり始めてさほど経ってなかった

すると、ラジオから男の声が流れて、こんなことを言った

ファンにこの事をお伝えするのはとてもつらいですが

ジョニー・エイスが亡くなりました


僕はジョニー・エイスの大ファンというわけではなかったけど

それでもとても悲しかった

それで僕は手紙を書いて写真を送ってくれるようお願いし、返事を待った

テキサスからはるばる送られた写真の顔は

悲しげで純粋無垢な感じだった

そして、下の方に書き込まれていた

今はなき偉大なるジョニー・エイスより


ビートルズの年だった

ストーンズの年だった

1964年

僕は、その前の夏からつきあっていた彼女とロンドンに住んでいた


ビートルズの年だった

ストーンズの年だった

ジョン・F・ケネディが暗殺された次の年だった

僕らは一晩中夜更かしして

無為に日々を過ごしていた

そして、僕の生活には素敵な音楽が流れていた


寒い12月の夜

クリスマスの雑踏の中を歩いていた

すると、見知らぬ男が現れて僕に言った

「聞いたか?ジョン・レノンが死んだんだ」

僕ら二人はこのバーに入り、閉店まで居続けた

そして、僕らが演奏した曲はみな

今はなき偉大なるジョニー・エイスに捧げるものだった


アート・ガーファンクル Art Garfunkel "A Heart in New York"

by Benny Gallagher/ Graham Lyle


ニューヨーク

摩天楼が空に輪郭線を描く町に僕はやって来た

ロンドンからはるばる飛んで君のドアへ

ニューヨーク

眼下にセントラルパークが見下ろせる

そこは夜に出歩くのは危ないそうだが


ニューヨーク

あらゆる映画に現れるシーンのような町

でも、君自身は夢でなく

ちゃんと現実の世界に存在する

心がある

ニューヨークに住む心


ニューヨークの心、街に咲く薔薇

街の鼓動に合わせて僕は歌を書く

ニューヨークの心

彼女の瞳に映る愛

開かれた扉、そして夜の友達


ニューヨーク

君はお金のことばかり気にしてる

僕の言葉だけでは一円の足しにもならないだろう

だから、君に会いに行くよ

ニューヨーク

ザ・ビートルズ The Beatles "Eleanor Rigby"

lyrics by John Lennon and Paul McCartney


孤独の民に目を向け給え


エリナー・リグビー

教会で結婚式の後、米粒を拾っている

彼女は夢の中で暮らしている

扉のそばの壺から仮面を取り出し

顔に被って窓のそばで誰かを待っている

誰を待ってるの?


孤独の民

みな、どこから来たのだろう

孤独の民

みな、どこに住んでいるのだろう


マッケンジー神父

説教の原稿を書いているが、誰も聞かない

誰も近寄らない

彼の仕事を見てご覧

夜、誰もいない時に靴下を繕っている

誰を気にしてるの?


孤独の民

みな、どこから来たのだろう

孤独の民

みな、どこに住んでいるのだろう


エリナー・リグビー

彼女は教会で死に、彼女の名とともに葬られた

誰も来なかった

マッケンジー神父

墓場から戻るとき手の埃を拭った

誰も救われなかった


孤独の民

みな、どこから来たのだろう

(孤独の民に目を向け給え)

孤独の民

みな、どこに住んでいるのだろう

(孤独の民に目を向け給え)

サイモン&ガーファンクル「木の葉は緑」 Simon and Garfunkel "Leaves That Are Green"

lyrics by Paul Simon


僕は21歳の時この歌を書いた

今は22歳、でも、もうすぐひとつ歳を取る

時は急いで過ぎてゆく

緑の木の葉は褐色に変わり

風の中でしおれて

君の手の中で砕け散る


かつて僕の心はある少女への愛で満ちていた

あんなに強く抱きしめて離さなかったのに

彼女はその夜消えていった

まるで僕が書こうとした詩のように

緑の木の葉は褐色に変わり

風の中でしおれて

君の手の中で砕け散る


小石を小川に投げた

そして、さざ波が過ぎていくのを見た

少しも音は立たなかった

緑の木の葉は褐色に変わり

風の中でしおれて

君の手の中で砕け散る


Hello, hello, hello, hello

Good-bye, good-bey, good-bye, good-bye

…ただそれだけ

緑の木の葉は褐色に変わり

風の中でしおれて

君の手の中で砕け散る

ザ・ビートルズ The Beatles "Strawberry Fields Forever"

lyrics by John Lennon and Paul McCartney


一緒にいかないか、ストロベリー・フィールズへ

何もかもが現実でない

誰も干渉してこない

ストロベリー・フィールズは永遠に


目を閉じれば生きていくことは簡単

目を開ければ、見えてくるのは誤解ばかり

ひとかどの人間になるのは大変、でもどうにかなるさ

僕にはどうでもいいことだからね


誰も僕の木にいないと思う

木が高すぎるか低すぎるということさ

僕とは波長を合わせられない、でもいいよ

大した問題ではないからね


いつも…いや、時々、それは僕だと思うんだ

でも、それを知るのは夢の中なんだ

ああ、でも、それはとてもまずいよ

僕は受け入れられないよ


一緒にいかないか、ストロベリー・フィールズへ

何もかもが現実でない

誰も干渉してこない

ストロベリー・フィールズは永遠に

ポール・サイモン「犬を連れたルネとジョルジェット」  Paul Simon "Rene and Georgette Magritte with Their Dog after the War"

lyrics by Paul Simon


ルネとジョルジェット・マグリットは

犬を連れて戦争の後

ホテルの部屋に戻りドアの鍵を開けた

イブニング・ドレスをするりと脱いで

月の光の中 音楽に合わせて踊った


ペンギンズ、ムーングロウズ

オリオールズ、ファイブサテンズ

厳しく禁止されてきた

ずっと聴きたいと思っていた音楽

ルネとジョルジェット・マグリットは

犬を連れて戦争の後


ルネとジョルジェット・マグリットは

犬を連れて戦争の後

クリストファー街を散策した

そして、一軒の紳士服店で足を止めた

流行りの服に身を包んだマネキンを見て

移民である二人の目に涙が溢れた


ペンギンズ、ムーングロウズ

オリオールズ、ファイブサテンズのよう

何気ない笑い声が風に乗って聞こえてくる

ルネとジョルジェット・マグリットは

犬を連れて戦争の後


二人は寄り添って眠りに落ちた

何十年もの歳月がインディアンのように駆け抜ける

時間なんてちっぽけなもの

目が覚めると二人は気づくだろう

一人ひとりが大事にしてきたものが

もうひとりにとってもかけがえのないものだったということを


ルネとジョルジェット・マグリットは

犬を連れて戦争の後

権力者とディナーの席についていた

そしてホテルの部屋でタンスの引き出しの中を見た

二人は心の中の冷たいキャビネットの中に

何を隠していたのだろう


ペンギンズ、ムーングロウズ

オリオールズ、ファイブサテンズ

今もこの後ずっと変わらず

ルネとジョルジェット・マグリットは

犬を連れて戦争の後

ザ・ビートルズ The Beatles "Paperback Writer"

lyrics by John Lennon and Paul McCartney


ご担当様

私の本を読んでいただけるでしょうか

この本を書くのに何年もかかりました

少しだけでも御覧ください

この本はリアという人の小説に基づいています

私は仕事がほしいのです

ペーパーバックライターになりたいのです


これはみだらな男のみだらな話です

彼にまとわりつく女房はその事を理解していません

彼の息子はデイリーメールに勤めています

安定した職場です

でも彼はペーパーバックライターになりたがっています


この本は千ページあります、少々お時間割いていただけるでしょうか

1,2週間あればもっとたくさん書きますよ

この本のスタイルがお気にめされば、もっと長く書いてもいいですよ

またスタイルを変えることも可能です

とにかく、私はペーパーバックライターになりたいのです


この本がお気にめされば、権利はお譲りします

一夜で百万長者になれるでしょう

お返しするのでしたら、ここへお送りください

でも、私はペーパーバックライターになりたいのです

ポール・サイモン Paul Simon "Hearts and Bones"

lyrics by Paul Simon


ユダヤ人が一人とユダヤ人のハーフが一人

ふたりが一緒にあてもなく旅している

何処へ行こうとふたりの自由だ

いま、ニューメキシコのサングレ・デ・クリスト山地にいる

「キリストの血」の山だ


遠い昔にはじめた

ふたりの旅もこれが最後

ふたりの愛の日々が円を描いている

砂漠の空に虹だ

山が通り過ぎて

遠くの岩に消えてゆく

心と骨


遠い昔を思い返していた

扉のひび割れの隙間を覗き込むように

二人は結婚した

「この結婚は無謀だ」

「あの女は流行り病にかかっている」

でも彼女は花嫁気分で心が燃え上がっていた


男と彼に寄り添う女は

この一件で何かが変わったのだろう

愛の日々が円を描く

彼の手が彼女の髪をなでおろす

愛は稲妻のように震えうなる

心と骨


女は言った

夜もずっと車を飛ばしましょうよ

そうすれば、メキシコで朝を迎えるわ

あたし、メキシコのこと何も知らないの

私のこと愛してよ

私は誰のためにいるの

私はどこにいるの


男は言った

なぁ、世の中はそういうものじゃないだろ

これが僕のやり方だ

これが僕の愛し方だ


ユダヤ人が一人とユダヤ人のハーフが一人

手つかずの海辺にまた帰ってきた

そして、昔の友達とまた仲良くなった

時々外に出ては考えていた

誰が一番傷ついちゃったんだろうと


こうやって慰めるのが二人のためになるのか

のんびり過ごしているうちにわかるだろう

愛の日々が円を描く

元の生活に戻るのを待つ

二人の体をひねり回して一つにしてしまおう

そうすれば、二人はばらばらになることはない

心と骨

心と骨

1991年、スペインでのライブ。サックスはマイケル・ブレッカーですね。

ポール・サイモン Paul Simon "Duncan"

lyrics by Paul Simon


隣のお二人さん

ご褒美にあずかろうと

一晩中アレに夢中になっている

僕はちょっと眠りたいんだけど

モーテルの壁は薄くってさ…

僕の名前はリンカン・ダンカンです

これから1曲歌います


僕の親父は漁師だった

おふくろはその漁師の友達

退屈極まりない暮らしの中で

チャウダーを煮込んでいるような家で僕は生まれた

だから、僕は大きくなって

沿海州の家を出ていったんだ

そして、高速道路をニューイングランドへ向かっていった

花のニューイングランドへ


僕の自尊心はズタボロの穴だらけ

ジーンズの膝も穴だらけ

ポケットにはもう1円も残っていなかった

街角の子供のような貧乏暮らし

指環でもはめていればよかったのにと思ったよ

そうしたら、それ、質屋に売れるからさ


駐車場で若い女性が一人

集まっていた人々に説教をしていた

そして、聖歌を歌ったり聖書を読んだりしていた

僕は彼女に告げた

もう、どうしたらいいのかわからないと

そしたら彼女は五旬節のことを話してくれた

彼女が生き残る術を教えてくれると思ったんだ


その日の夜遅く

僕は懐中電灯片手に彼女のテントに忍び込んだ

そして、僕の長い童貞の日々は終わった

彼女は僕を森の中へ連れて行って

「ああ、何か来るわ、気持ちいい…」

僕は犬っころのように彼女に可愛がられたんだ


ああ、何という夜だったんだ

あれは歓喜の花園だった

あの甘い夜の思い出は今も消えない

僕は星空の下でギターを弾いていた

ギターを弾ける指を与え給うた

神にただただ、感謝しながら

ポール・サイモン「僕とフリオと校庭で」 Paul Simon "Me and Julio Down by the Schoolyard"

lyrics by Paul Simon


ママはパジャマをベッドに脱ぎ捨て

警察署に駆け込んだ

パパは見つけると叫びだして

調査を始めたんだ


これは違法だ、法律違反だ

ママが見たものは法律違反だ


ママは下を向き地面につばを吐いた

その度に僕の名を口にしながら

パパは言った

ああもう、あのガキを見つけたら

奴を留置場にぶち込んでやる


僕は我が道を行くさ

何処へ行こうが僕の知ったことじゃない

我が道を行く

僕はマイペースで行くさ

何処に行くかわからないけど


さよならロージー、コロナの女王

また会おう

僕とフリオと校庭で


数日後、連中は僕を見つけ、連行した

だが、マスコミがこの一件をリークした

急進的な牧師さんがやって来て、僕を解放してくれた

僕らニューズウィークの表紙に載ったんだ


僕は我が道を行くさ

何処へ行こうが僕の知ったことじゃない

我が道を行く

僕はマイペースで行くさ

何処に行くかわからないけど


さよならロージー、コロナの女王

また会おう

僕とフリオと校庭で

サイモン&ガーファンクル「霧のブリーカー街」 Simon and Garfunkel "Bleecker Street"

lyrics by Paul Simon


イースト川から霧が流れ込んで

まるで経帷子のようにブリーカー街を覆う

霧は人々の眠る街を埋め尽くし

羊から羊飼いを隠してしまう


寂しいカフェから声が漏れてくる

客は笑顔を浮かべて相手を理解しようと努める

影がもう一人の影の手に触れた

ブリーカー街にて


詩人は韻の歪んだ詩を詠む

これは彼の聖餐だ

30ドルがここの家賃

ブリーカー街では


教会の鐘が優しく鳴っている

その音色は旋律となって長く続く

カナンへの道程は遠い

ブリーカー街にて


ザ・ビートルズ The Beatles "She's Leaving Home"

lyrics by John Lennon and Paul McCartney


水曜の朝5時、一日が始まる

彼女はそっと寝室の扉を閉めた

彼女の本心を綴った手紙を残して

ハンカチをギュッと握りしめ

1階の台所に降りた

裏口の鍵を静かに閉めて、外に出る

もう彼女は自由だ


彼女は家を出てゆく

(私達の生活はほとんど彼女のためのものだった)

(彼女のために自分たちの人生を犠牲にした)

(お金で買えるものなら何でも買ってあげたのに)

彼女は長年孤独の中で暮らし、とうとう家を出てゆく


父親がいびきをかいている間

妻は起き上がってガウンを着た

そして手紙を拾い上げ、階段の上ひとり立ちつくす

突如、彼女は夫の胸に崩れ落ち、泣き出した

あなた、娘がいなくなったわ

あの娘、なんてひどいことをするの

どうしてこんなことができるのよ


彼女は家を出てゆく

(私達、自分のことは考えなかった)

(自分達のことを考える余裕はなかった)

(毎日生きてゆくだけで精一杯だった)

彼女は長年孤独の中で暮らし、とうとう家を出てゆく


金曜の朝9時

彼女は家から遠く離れたところにいる

約束の時間にひとり待ち合わせ

するとカーディーラーの男が現れて

彼女に挨拶をする


彼女は「楽しみ」を見つけた

(私達、何か悪いことをしたの)

(何が悪かったのか、わからない)

(楽しみ、それはお金で買えないものだった)

彼女の心の中の何か

それは長い間否定されてきた


彼女は家を出てゆく

サイモン&ガーファンクル「アメリカ」 Simon and Garfunkel  "America"

lyrics by Paul Simon


「僕達、恋人になろうよ

結婚して運命をともにするんだ

バッグの中に一財産持ってきたよ」

僕らはタバコを一箱、そして、ワグナーおばさんのパイを買って

アメリカを探す旅に出たのだ


「キャシー」と僕は呼びかけ、ピッツバーグでグレイハウンドバスに乗った

「ミシガンは今となっては夢のようだ」

サギノーからヒッチハイクで4日かかった

僕はアメリカを探しに旅立った


バスの中では笑いながら

乗客の顔でゲームをしていた

彼女は言った

ギャバジンのスーツを着ている人、あれはスパイだわ

それで僕は言った

気をつけろ、奴の蝶ネクタイはカメラだからな


「タバコちょうだい、私のレインコートにあると思うから」

「1時間前に最後の1本、吸ってしまったよ」

それで僕は景色を眺めた

彼女は雑誌を読んでいた

開けた原野に月がのぼっていた


「キャシー、僕は道を見失った」僕は言った

彼女は眠っていたけれど

「心が虚しい、心が痛い、どうしてかわからないんだ」

ニュージャージーの高速道路では車を数えていた

みんな、アメリカを探しにやって来たのだ

みんな、アメリカを探しに

ポール・サイモン「時の流れに」Paul Simon "Still Crazy after All These Years"

lyrics by Paul Simon


昨夜、街で昔の恋人に会った

彼女は僕の顔を見て嬉しそうだった

僕も笑い返した

酒場で昔話に花を咲かせ

二人で麦時間

あれから長い月日が経ったけど

まだ彼女に恋していた


僕はそんなに人付き合いがいい方でない

昔通りのやり方で生きていくしか能がないんだ

耳に入るラブソングに夢中になるような人間でもない

でも、君にまだ恋してる


朝4時

ああ嫌になった

あくびひとつ

人生投げ出したくなる

でも、後悔はしないさ

なぜ後悔するんだ?

どうせみんな最後には消えてなくなるんだから


いま窓に腰掛け車の流れを見つめている

ある晴れた日に損害沙汰を起こすかもという気もする

でも、同僚が陪審員だったら

有罪だと言わないだろうな

まだ彼女に恋している

あれだけ年月が経ったのに

彼女のことが好きなんだ

ザ・ビートルズ The Beatles "Drive My Car"

lyrics by John Lennon and Paul McCartney

お嬢ちゃん、何になりたいの?

ええっ、わかるでしょ?

あたし有名になりたい、銀幕のスターに

だから、あなたも少し手を貸して


あたしの車を運転してよ

あたし、スターになるんだから

あなたは私の運転手

そうすれば、あなたのこと好きになるかも


俺なあ、この先食っていくには困らないしなぁ…

あぁ、そうわね

安月給に甘んじるのも悪くないけど

もっといい人生が待っているわよ


あたしの車を運転してよ

あたし、スターになるんだから

あなたは私の運転手

そうすれば、あなたのこと好きになるかも


わかった、今から始めるとするか

あっ…ひとつ言わなきゃ

あたし、自動車持ってないの

悲しいわ

でも、運転手が見つかったから、スタートよ


あたしの車を運転してよ

あたし、スターになるんだから

あなたは私の運転手

そうすれば、あなたのこと好きになるかも


Beep, beep, beep, beep, yeah!

covered by MonaLisa Twins (live at the Cavern Club)

サイモン&ガーファンクル「ミセス・ロビンソン」Simon and Garfunkel "Mrs. Robinson"

lyrics by Paul Simon


ロビンソン夫人に乾杯

あなたはご想像以上に

イエス様に愛されているのですよ

ロビンソン夫人に神のお恵みあれ

祈りを欠かさぬ人には

天国の居場所は約束されているのです


私ども、あなたのことをお伺いして書き留めたいのです

あなたご自身で解決したいのなら

その一助になればと思って

まわりをご覧なさい

皆さん、あなたに同情の視線を向けてます

落ち着くまで外をぶらついてはどうですか


そういうのは、誰にも見られないように隠してしまいなさい

カップケーキと一緒に貯蔵庫の中にでも

どうでもいいちょっとした秘密

ロビンソン家の中のちょっとしたいさかいですから

まあ、それでも

子供には見つからないようにしましょうね


日曜の午後はソファでくつろいでいなさい

あるいは選挙の討論会にでもでかけては

大笑いしたり、叫んだりして

そして、いざ投票というときになったら

どう見てもあなたには勝ち目はないのですけど…


何処へ行ってたのです?ジョー・ディマジオ

国中の人たちが寂しげな視線を向けてますよ

えっ、何ですって?ロビンソン夫人

ぶっ飛びジョーはもういないというのに

1999年、ジョー・ディマジオ追悼セレモニーでポール・サイモン「ミセス・ロビンソン」を歌う。

サイモン&ガーファンクル「サウンド・オブ・サイレンス」Simon and Garfunkel "The Sound of Silence"

lyrics by Paul Simon


暗闇は僕の友達

今夜も僕の話し相手

こんなことを打ち明けた

ある夜、夢の中にある光景が広がり

一粒の種を残していった

その光景は僕の脳に根付き

今も残像が焼き付いている

静寂の音の中で


その光景とは…

浅い眠りの中、見た夢

丸石の小道を一人歩いた

街灯の光輪

じっとりと冷たい空気の中

襟を立てた

その時、ネオンライトの閃光が

僕の目を貫き

闇夜を切り開いた

そして、静寂の音に触れた


裸電球のもとでみた光景

1万人、もっとそれ以上の人々

みんな、語ることなく喋る

耳を傾けることなく話にうなずく

みんな、歌を書くけど

それが歌声に乗って流れることはない

誰も歌おうとしない

そして、静寂の音は破られずに続く


僕は言った

愚か者よ

静寂が癌のように広がってゆくではないか

私が語る言葉に耳を傾けよ

私が差し伸べる手を取るのだ

しかし、僕の言葉は雨粒のように流れ落ちた

そして、静寂の井戸の中でこだました


群衆は自ら作った

ネオンの神に頭を垂れて祈る

ネオンサインはきらめく文字の中に

群衆への警告を発していた

預言者の言葉は地下鉄の壁

安アパートの廊下に刻まれていると

そして、静寂の音の中でささやいていた

1981年、伝説のセントラルパーク・コンサートにて